【人気沸騰中!】インバウンドを魅了する大阪と訪日観光客

大阪は多くのインバウンド観光客をひきつける関西の中心都市です。関西国際空港があり、奈良や京都と1時間以内で結ばれる立地から、関西旅行の拠点として利用されています。

2025年には万博の開催を控えていることから、世界からますます注目を集め、多くの観光客が大阪を訪れるでしょう。本記事では、大阪で必要となるインバウンド対策について、過去のデータや求めるポイント、成功事例をもとに紹介していきます。大阪でインバウンド対策を検討している事業者は参考にしましょう。

大阪のインバウンド需要

本章では、大阪における現状のインバウンド需要や人気を集める理由を紹介します。インバウンド対策の検討には、現状を知ることや、インバウンド観光客が大阪の何に魅力を感じているかといった理解が求められます。インバウンドに関する現状によって、対策を講じるべきか検討しましょう。

コロナ前を上回るインバウンド需要

2023年10月のインバウンド観光客は2019年同月を上回り、単月でコロナ禍の水準を初めて超えました。とくに韓国やアメリカからのインバウンド需要が回復しています。2023年通年のインバウンド観光客は1,000万人を確実に超えるとされています。

一方で、交通機関の混雑や宿泊施設不足など、オーバーツーリズムの問題が表面化しているため、速やかなインバウンド対策が欠かせなくなるでしょう。

大阪が人気を集める理由とは

大阪が人気を集める理由は、大阪人の性格や食文化、立地にあるとみられます。大阪人は言葉がわからなくても、積極的に外国人とコミュニケーションをとろうとする点が外国人にとって好印象です。

食文化といえば、お好み焼きやたこ焼きに代表される粉もんですが、パンやパスタなどの小麦粉を原料とする主食が多い外国人に好まれています。さらに関西の中心に位置するため、関西旅行の拠点として選ばれています。

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データで見る大阪のインバウンド

本章では、コロナ前である2019年のデータを参考にして、大阪のインバウンドについて掘り下げて紹介します。インバウンド対策で大切なことのひとつに「ターゲットを明確化すること」が挙げられます。大阪でインバウンド対策を検討している事業者は、データを参考にターゲットを絞っていきましょう。

訪問外国人の割合

大阪における訪問外国人の割合は、1位の中国が、全体の46.63%を占め、次いで韓国が13.28%、台湾が10.55%、香港が5.94%、アメリカが4.03%です。関西国際空港から直行便が就航している地域からのインバウンド需要が高い傾向があります。中国からのインバウンドが約半数を占めるため、中国人向けのインバウンド対策は必須となるでしょう。

消費金額の割合

消費金額の割合は、1位の中国が60.79%、次いで香港が8.67%、台湾が7.65%、韓国が7.55%です。2019年当時はいわゆる「爆買い」が残っていたことが影響し、中国の割合が圧倒的に多い結果となりました。

今後、中国からのインバウンドがコロナ前同様に「爆買い」をするとは考えにくく、状況は変化するとみられます。

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インバウンドの宿泊数

大阪のインバウンド需要は高まっており、2019年では、17,023,350人/泊で全国2位にランクインしました。大阪は奈良や京都などの関西各地を観光する拠点として、外国人観光客に利用されています。日中、奈良や京都を観光し、夜は大阪でショッピングをして宿泊をするプランが人気を集めています。

平均宿泊日数

大阪の平均宿泊日数は3.1泊で、全国第32位です。インバウンドの宿泊数は全国2位ですが、中国や韓国、台湾などの隣国からの観光客が多いため、平均宿泊日数は全国のなかでも下位となりました。短い滞在期間ですが、少しでもインバウンドに不便を生じさせないことが重要となるでしょう。大阪に対して良い印象を抱いてもらうためにも、宿泊施設のインバウンド対策が求められます。

インバウンドの1人1回あたりの旅行消費金額

2019年の1人1回あたりの旅行消費金額は63,889円であり、全国6位でした。中国人観光客による消費行動が大きく金額を押し上げたとみられます。大阪は、ショッピングやテーマパーク、飲食店が集中しており、短い滞在期間でも旅行消費金額が大きくなります。さらに消費を押し上げるためには、ショッピングセンターや交通機関の多言語対応などで、消費に対する障壁や移動時間の短縮が必要となるでしょう。

インバウンドTOP3の消費行動

消費行動は、国によって異なります。ターゲットを明確化するために、消費行動を知ることはインバウンド対策にとって重要です。1位から順に紹介します。

1位中国

買物に多く金額を使用し、1人当たり平均36,711円です。次いで、宿泊、飲食となります。「爆買い」の傾向が残っていた影響があり、平均金額が大きい結果となりました。

しかし、コロナ後はある程度物品が豊かになった状態で、日本を訪れる観光客が増えるため、「爆買い」の傾向は収まり、体験型コンテンツへの消費が増えると考えられています。中国からのインバウンド需要が復活する前に、体験型コンテンツ提供施設等は中国人受け入れる体制を整えましょう。

2位韓国

宿泊費の出費額が一番大きく、1人当たり平均15,157円です。次いで、飲食、その他となります。ほかの国と比べて全体の平均出費額が大きいわけではないため、滞在期間が短いと推測されます。大阪での滞在を有意義なものにするためにも、宿泊施設では、韓国語スタッフを配置や韓国語表記の案内板を設置するなどの対策が求められるでしょう。

3位台湾

買物の出費額が一番大きく、1人当たり平均16,584円です。次いで、宿泊費、飲食費となります。出費額の並びとしては、1位の中国と使用言語もほぼ同じため、中国に対するインバウンド対策と同様といえます。

2025年の大阪万博では、東アジア以外の国から多くの観光客が訪れるとみられます。国によって消費行動が異なるため、事前にアンケートを様々な国で取り、結果に沿った対策をすることが求められるでしょう。

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インバウンドが大阪に求めるポイント

本章では、インバウンドが大阪に何を求めて訪れるのかを紹介します。インバウンド対策のひとつとして、外国人の視点から考えることが挙げられます。大阪の魅力を外国人の視点から見て、新たな観光資源の開拓に役立てましょう。

「食い倒れの街」でグルメを満喫

ニューヨークタイムズ「京都が日本の精神、東京は日本の心臓、大阪は日本のあくなき食欲」と紹介され、大阪が食い倒れの街であることは海外からも認識されています。インバウンド観光客のあいだでは、キタ・ミナミ、天満、鶴橋、新世界、天王寺周辺のグルメエリアを回るコースが定番です。

大阪のインバウンド観光客が食べているものは、ラーメンやすしといった日本食の定番に加えて、大阪が誇るお好み焼きやたこ焼きなどの「粉もん」が挙げられます。多言語メニューやキャッシュレス決済対応、SNSでの口コミ投稿を呼びかけるといったインバウンド対策を行うことで、集客を行えるでしょう。

ショッピングを楽しむ

大阪は、家電やファッション、化粧品、生活グッズ、アニメグッズなど、日本のカルチャーを楽しめる買物スポットが近い距離に集中しており、移動距離が少ないことが評価を得ているポイントです。人気観光地の道頓堀や新世界にも免税店があり、観光とショッピングを短い滞在期間で両立できます。しかし、近年では「モノ消費」から「コト消費」に移行しており、日本にしかない楽しさ・スリル・快適さを非日常的な体験によって味わうための旅行に変化しつつあります。安心して良質なものを買えることが、日本におけるショッピングの魅力であるため、魅力を前面に打ち出した宣伝をSNSで行うなどの、インバウンド対策が必要となるでしょう。

観光地・テーマパーク巡り

大阪には「コト消費」に最適な観光地やテーマパークが多くあります。なかでも道頓堀や大阪城、USJ、黒門市場、日本橋はインバウンド観光客に大人気です。黒門市場は利用客の80%が外国人旅行者というデータもあります。今後、インバウンド需要が回復すると、観光地やテーマパークには多くのインバウンド観光客が訪れると予想されるため、スタッフの教育や多言語対応を実施しましょう。

夜景を満喫するツアー

「コト消費」のひとつとしてインバウンド観光客に大人気なのは、夜景クルーズツアーです。堺泉北臨海工業地帯を満喫できる工場夜景ツアーは満足度85%であり、高い評価を得ています。東燃ゼネラルやコスモ石油、JXエネルギー、大阪国際石油精製などの工場夜景を海上から見られます。日本人が当たり前と思っている工場の風景は、インバウンド観光客にとっては大阪の魅力として捉えられているのです。

関西旅行の拠点

大阪は関西旅行の拠点としてインバウンド観光客に活用されています。人気がある奈良や京都と1時間以内で結ばれていることから、日中は大阪周辺で観光をして、夜には大阪でグルメやショッピングを楽しむというプランが人気を集めています。関西国際空港もあるため、関西の拠点としての意味合いが強いといえるでしょう。

大阪におけるインバウンド対策の成功事例

大阪は多くのインバウンド観光客を魅了していることを紹介してきました。本章では、実際に大阪でインバウンド対策に成功し、観光客に大人気となった事例を紹介します。大阪でインバウンド対策を検討している事業者は参考にしましょう。

食の商店街・黒門市場

黒門市場は大阪におけるインバウンド対策の成功例として、数々のメディアに取り上げられています。インバウンド観光客が増えていると感じた商店主たちが、ビジネスチャンスと捉えさまざまなインバウンド対策を行いました。

まず行ったのは、和服姿でインバウンド観光客をもてなすコンシェルジュの配置です。案内の途中に実施したアンケートで得た要望内容を解析し、さらなる対策を行いました。行った対策は、インバウンド観光客の食の好みを分析し、食べ歩きできるように串焼きにしたり、店先で食べるためにテーブルを設置することです。

メニューには英語・中国語を併記し、外国人が注文をしやすい環境をつくりました。また、商店街のパンフレットを多言語で作成し、ホテルや商店、観光案内所に設置して、観光客を呼び込むきっかけになりました。商店主たちの努力により、訪れる80%がインバウンド観光客になるなど、大阪のインバウンド対策の成功例となったのです。

千日前道具屋筋商店街

千日前道具屋筋商店街は、キャッシュレス決済の導入やアプリの開発により、成功をおさめました。商店街では、中国人が使用する頻度が高いスマホ決済やカード決済を導入し、観光客の増加につながりました。中国人の訪問割合が高かったため、ターゲットを絞った効果的なインバウンド対策が行えました。

2012年には商店街を免税店化し、関西外国語大学と共同で行ったのは、開発したiPadによる免税チャートアプリを利用した、多言語による免税手続きです。産学連携により新たな視点でインバウンド対策を行った貴重な事例です。同時にWi-Fiの導入や多言語観光マップ&アプリの開発も行い、インバウンド観光客増加に寄与しました。

インバウンドの消費行動がモノ消費からコト消費に代わる現在では、以下のような体験教室を有料で開催しています。

  • 寿司づくり
  • 和菓子づくり
  • グラス絵付け
  • 食品サンプルづくり
  • チョークアート制作

インバウンド観光客に大人気となっています。コロナ後の新たな旅行の形にも対応した成功例といえるでしょう。

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インバウンド 実績

大阪万博に向けてインバウンド対策を行う

大阪では、東アジアからの観光客が多く訪れ、消費行動がそれぞれ異なることを紹介しました。ほかの都道府県と比べて、滞在期間は短いですが、グルメやショッピング、テーマパーク、クルーズなどが人気となっており、評価を得ています。

関西各地を旅行する際の拠点として利用されるケースが多く、立地や交通利便性も大阪における魅力のひとつとなっています。過去の成功例からはインバウンド対策を行うポイントが見えてくるでしょう。

2025年には大阪万博が開催され、多くのインバウンド観光客が大阪を訪れます。大阪の魅力をさらに発信する絶好の機会であるため、インバウンド対策を行って、観光客の受入体制を整えましょう。