訪日台湾人は日本のどこを観光しているかご存じでしょうか。定番観光地はもちろん、台湾人だけしか行かないような場所までさまざまです。
しかし、いずれの観光地も台湾人から人気を集めている理由があります。訪日台湾人が訪れやすい観光ポットから必要な対策までを解説します。
訪日台湾人に人気の高い観光スポット10選
訪日台湾人に人気の高い観光スポット10選をご紹介します。日本人にも馴染みの深い観光地や、台湾人だからこそ訪れる価値のある場所までさまざまです。
日本の歴史を感じられる場所から体験型アクティビティとしての要素を持つ観光地まで、台湾人になぜ人気があるのかを解説します。
①京都・奈良
訪日台湾人に人気の高い観光スポット1つ目は、京都・奈良です。台湾人だけでなく外国人にとって、日本の歴史を直接感じられる場所として人気を集めています。
観光庁が発表している訪日外国人の消費動向によると、訪日台湾人が日本で期待していることとして「日本の文化・歴史を感じられる場所での観光」が上位に挙げられています。京都・奈良はまさに日本の歴史が残っている観光地で、今後も多くの台湾人観光客が訪れる場所です。
②東京ディズニーランド・シー
2つ目は、東京ディズニーランド・ディズニーシーです。日本を代表するテーマパークで、外国人観光客の来園比率は、2019年に10%を記録しました。
台湾人の消費支出の統計によると、ゴルフ場やテーマパークのへの支出単価は1人当たり約10,000円で、リピーターも多いのが特徴です。日本滞在中にしたいことにおいても、テーマパークの娯楽の割合は20%前後と高めでした。また、そもそも台湾にはテーマパークが少なく、日本に訪れて体験してみたいという訪日台湾人が多いようです。
③美ら海水族館
続いては、沖縄県にある美ら海水族館です。沖縄県は訪日台湾人リピーターが増加しているほか、台湾から飛行機で約1時間30分と距離的に近いこと、沖縄県を代表する観光地であることが人気の理由として挙げられます。
ジンベイザメやナンヨウマンタが泳ぐ巨大水槽は美ら海水族館のシンボルでもあり、ここで写真を撮影してFacebookに投稿するのが台湾人の楽しみ方です。
④全国のお城・寺
日本観光と言えば、お城や寺です。訪日台湾人リピーターが多い兵庫県は、世界文化遺産に登録されているほか、世界三大名城に数えられる姫路城があります。
姫路城以外にも、名古屋城や大阪城は都市圏にあるこため観光しやすいのも人気である理由の1つです。お城や寺は日本の歴史を感じられる観光地であり、台湾人にとって訪れる価値のある場所だと考えられています。
⑤富士山・河口湖
富士山や河口湖は台湾人に限らず、訪日外国人にとって共通の観光スポットです。台湾では山登りも盛んに行われていることから、日本の最高峰である富士山に登頂する台湾人も少なくありません。
河口湖は外国人観光客に対して積極的にインバンドプロモーションを行っています。公式サイトは、日本語、英語、韓国語、中国語(簡体字・繁体字)の5言語に対応しているほか、イスラム教徒向けの宿泊施設も完備しており、外国人が観光しやすい環境が整った場所です。
⑥兼六園
兼六園が人気である背景として、北陸地方への訪日台湾人が増加をしている理由が挙げられます。国土交通省の北陸地方における交流の現状によると、北陸圏での外国人宿泊者数の半分を占めているのが台湾人です。
兼六園自体も江戸時代から続く日本庭園で、岡山県の後楽園、茨城県の偕楽園と並び日本三大名園の1つに数えられています。春には桜、秋には紅葉を楽しめることでも知られており、庭園を背景にして写真撮影をするのが訪日台湾人の兼六園での楽しみ方です。
⑦鎌倉・江ノ島
東京から日帰り圏内にある鎌倉・江ノ島も、訪日台湾人に人気の観光スポットです。鎌倉が話題となった理由は、人気アニメ・スラムダンクのオープニング映像に出てくる江ノ島電鉄の踏切です。
台湾だけでなく世界的に日本のアニメが流行っており、アニメに出てくるシーンを訪れる「聖地巡礼」をするために日本に訪れる観光客も少なくありません。鎌倉は日本の歴史や文化を体験場所であることに加え、アニメを通じて認知度が高まった好例です。
⑧箱根彫刻の森美術館
箱根彫刻の森美術館は、神奈川県箱根町に位置する野外型の美術館です。箱根という立地も好影響していることや、目的に合わせたコースプランを用意しており、美術への知識がなくても鑑賞しやすい環境を整えています。
また、訪日外国人向けのVRコンテンツを使って、箱根彫刻の森美術館の疑似体験をできるサービスを行っています。訪日外国人観光客の獲得に必要な英語、中国語(簡体字・繁体字)、韓国語、タイ語の多言語ガイドに対応している点も人気である理由の1つです。
⑨奥入瀬渓流
青森県・十和田八幡平国立公園内にある奥入瀬渓流は、台湾人や外国人の間で人気を集めており、近年観光客が増加しています。奥入瀬渓流は川下りを行えるアクティビティ要素に加え、手つかずの自然が残る風景を楽しめることで訪日台湾人にとって魅力の高い観光スポットです。
⑩北海道(スキー場・富良野ラベンダー畑、雪まつり)
訪日台湾人が訪れる観光スポットを語る上で欠かせないのが、北海道です。2019年には年間250万人の外国人が訪れ、そのうちの20%が台湾人でした。
北海道が台湾人に人気であるのは、台湾では経験できない本格的な冬の季節を感じられることや、ウインタースポーツや雪まつりといったアクティビティを楽しめるためです。また、北海道の広大な土地に広がる花畑を撮影するために訪れる台湾人も多く、季節を問わず1年中観光できるスポットです。
https://honichi.com/news/2020/04/03/inboundkagawa/
https://rtrp.jp/articles/4636/
https://honichi.com/news/2019/12/12/taiwneseinhokkaido/
訪日台湾人に人気のある観光地の特徴
上記で挙げた訪日台湾人に人気のある観光地にはそれぞれ特徴があります。SNSを使ったメディア拡散を行いやすい観光地から、アクティビティ要素のある観光地、さらには日本の文化や歴史を感じられる観光地まで多種多様です。
SNSでシェアしやすい場所
訪日台湾人に人気のある観光地は、SNSでの拡散に適した場所であることが多いです。台湾ではFacebookの利用率が全人口の8割を超えているとされており、日本の観光情報の収集にも使われています。
SNSでシェアしやすい観光地は、観光地として話題性があること、希少性が高いこと、四季による変化が顕著に表れている場所などが挙げられます。風景やモニュメントのようなものだけでなく、飲食物、お土産もSNSで拡散しやすく、プロモーションにも期待できる要素です。
アクティビティを楽しめる観光地
訪日台湾人に人気のある観光地のなかには、アクティビティを楽しめる観光地が多く含まれています。日本での観光が、モノ消費からコト消費へ移り変わっていくなかで、実際に体を使って体験できることを目的とする台湾人も増加しています。
台湾は国土も小さいことからテーマパークや水族館のような1日中楽しめる観光施設が日本ほど多くありません。訪日台湾人は、北海道でのスキー体験も含めて、自国にない観光要素を日本観光で期待をしています。
日本の文化・歴史を感じられる観光地
日本の文化・歴史を感じられる観光地も人気スポットとして選ばれています。台湾は日本との歴史的なつながりも深いことや、日本のアニメの影響によって、日本文化へ興味を持つ台湾人が多くいます。
日本観光を通じて日本をもっと知りたい、日本のライフスタイルを学んでみたいという需要も高く、京都・奈良や兼六園といった日本の歴史と文化が根強く残る場所は、訪日台湾人にとって欠かせない観光ルートです。
訪日台湾人誘致に必要な対策
訪日台湾人を誘致するためには、人気スポットの特徴を意識するだけでなく、各観光での対策も必要です。すでに日本の観光地を代表する京都や河口湖では多言語での案内が進んでいますが、地方では日本語でしか対応されていない観光地も少なくありません。
また、訪日台湾人の嗜好に合わせた観光地づくりも対策の1つとして挙げられます。台湾人の間で話題になるような要素を意識することで、訪日台湾人観光客を獲得しやすくなります。
観光地の多言語化
インバウンドを有利に進めるためには、観光地での多言語化は必須の対策です。台湾人だけでなく外国人観光客が多いエリアでは、英語、中国語、韓国語の3言語に対応していることがほとんどで、不自由なく観光できるように工夫されています。
しかし、近年話題が出てきた観光地や地方都市では、多言語化が進んでおらず、結果として意思疎通に苦慮しトラブルが発生することもあります。外国人や地元住民に対して安心感を与えられるようにするためにも、中国語を含め、多言語での案内を取り入れるようにしましょう。
台湾人の嗜好に合わせる
訪日台湾人を増やすためには、台湾人の嗜好に合わせることも大切です。台湾人は、SNSでシェアされているような話題性が高い場所や、台湾で見られない神秘的な景色、日本文化が色濃く出ている場所に興味を持ちます。
また、台湾ではブロガーへの信頼度も高いことから、インフルエンサーが発信している情報をもとに日本への観光プランを立てることも多いです。訪日台湾人がどのような観光を目的としているかを調べ、台湾人が行ってみたいと思えるようなプロモーションを行いましょう。
まとめ
訪日台湾人に人気のある日本の観光スポットは、文化・歴史を感じられる場所から、台湾にはないアクティビティ要素のある観光地、アニメなどで話題となっている場所までさまざまです。ほかの外国人が行かないのに、台湾人だけ増えている観光地も多いことから、日本でどのような観光を望んでいるかをチェックしなければなりません。
訪日台湾人を積極的に誘致するためには、多言語化を進めて安心できるような取り組みも必要です。台湾人の間で拡散するための要素をしっかりとチェックし、是非行ってみたいと感じられるような環境づくりをしましょう。
BEENOS Travel代表取締役社長。台湾最大級のインバウンドメディア「トラベルバー」の事業責任者を務める。デプスインタビューやアンケートを活用して収集した豊富な情報を基に、最新かつ詳細な台湾情報を世界に発信している。自治体、宿泊事業者、商業施設、飲食店と台湾インバウンド関連の業務を行い、台湾の魅力を広く紹介する活動に従事している。