年間3,188万人の訪日観光客が訪れ、訪日者数は第1位中国、第2位韓国、第3位に台湾がランクインしています。訪日台湾人は約8割がリピーターで日本を好む人が圧倒的に多いため、このビジネスチャンスを逃すまいと各企業や自治体はあらゆる策を講じています。訪日台湾人向けに自社商品やサービスの集客や売上に繋げるためには、台湾人の特徴を知ることが大切です。
そこで今回は「台湾の文化」や「訪日台湾人旅行者の特徴」について紹介していきます。
具体的には、
- 台湾の基本情報・台湾人の特徴
- 訪日台湾人観光客(インバウンド)の基本情報
- 訪日台湾人観光客(インバウンド)の特徴
- 訪日台湾人観光客(インバウンド)に人気のエリア・情報収集方法
について徹底解説します。多くの台湾人観光客にプロモーションしたい方はぜひご覧ください。
台湾の基本情報・台湾人の特徴
訪日観光客数が右肩上がりの台湾インバウンドを呼び寄せたいと、数多くの企業がさまざまな策を講じています。インバウンド対策をする前に大切なことは、台湾という国の特徴を知ることです。この項目では台湾の基本情報から紹介していきます。
台湾の基本情報
面積 | 約36,000 km2(36,750 km2の九州本島とほぼ同じ) |
首都 | 台北(約271.8 km2で東京23区の約半分の大きさ) |
主要都市 | 台北、高雄、台中 |
人口 | 2016年時点で2,353万人(日本の約1/5) |
言語 | 台湾語・北京語(使用する漢字は繁体字) |
通貨 | ニュー台湾ドル(2020年6月時点:1ニュー台湾ドル=3.61円) |
宗教 | 仏教、道教、キリスト教など |
気候 | 熱帯・亜熱帯 |
日本との時差 | マイナス1時間 |
日本からの移動時間 | 約4時間(成田⇔台北) |
平均賃金 | 月収約18万円(中央値月収は約14.5万円、年収約212万円(中央値年収は170万円) |
スマートフォン普及率 | フォン普及率:81%(日本は75%) |
ネット利用時間 | 平均4時間17分(日本は2時間20分) |
台湾人の特徴
台湾人の性格や文化は「家族を大切にする」「時間にルーズ」「親日家」「外食文化」があります。それぞれ詳しく見ていきましょう。
家族との時間を大切にする
台湾は日本よりも家族や親戚の血縁関係あるつながりをとても大事にする国民性です。そのため週末の休み・連休・祝日などのイベントには、家族や親戚が大勢で集まりにぎやかに過ごします。また付き合っている相手がいれば、食事の時や家族のイベントなどにも一緒に参加することも当たり前です。台湾が家族経営が多いのは、家族とのつながりを大切にしている理由が関係しています。
性格はフレンドリーでおおらかだが、時間にルーズ
台湾は沖縄のすぐそばにある亜熱帯気候なので、南国特有のおおらかで陽気な性格の人が多いです。さまざまな国と文化が入り混じる台湾なので、異なる文化を受け入れるフレンドリーさがあります。また時間に関する考え方が少しルーズで計画性のないところがあるため、待ち合わせや約束事には注意が必要です。
親日家が多い
1895年から約50年の間に日本が台湾を統治していた時代がありました。日本政府が莫大な費用を投じて道路や鉄道などのインフラ整備・ダムの建設など台湾の経済発展に大きな影響を与えたことによって、日本への好意的な感情が根付いています。
現在80代前後のお年寄りは当時日本教育を受けていたこと、そして今現在の若者は高校や大学での選択学科によって多くの台湾人が日本語を話せるのです。日本語だけでなく統治されていた時代に建てられた歴史的日本建造物が未だに大切に残されていることで日本への馴染みが深く、多くの親日家が広がっていると言えます。
外食中心の食文化
台湾では外食文化が強いため、早朝から深夜まで屋台やレストランなど営業しているお店が多くあります。台湾でポピュラーな屋台はご飯・お肉・魚・スープ・スイーツまでバリエーションが多くリーズナブルなので、特に家族と離れて暮らす独身の人や学生は毎日3回外食する人も珍しくありません。
台湾では日本の居酒屋シーンとは異なり食事をするタイミングでお酒を飲むことは少なく、食後の後にゆっくりお酒を楽しんだりお祝いイベントなどで家族そろって飲んだりすることが一般的です。
多様な文化の融合
台湾は様々な文化の影響を受けており、中国本土、日本、先住民族、西洋などの要素が混ざり合った多様な文化を持っています。台湾人はこれらの異なる文化を認識し、誇りを持っています。
訪日台湾人観光客(インバウンド)の基本情報
続いては台湾人インバウンドの基本情報について解説していきます。毎年増加傾向にある観光客数ですが、どのように推移変化や動向なのか見ていきましょう。
訪日台湾人観光客数の推移
出典:JNTO「訪日旅行データハンドブック2019年」
https://www.jnto.go.jp/jpn/statistics/jnto_databook_2019.pdf
日本政府観光局(JNTO)の調査では訪日台湾人客数は2009年時点で102万人でしたが、9年後の2018年には約4.7倍の475万人を記録し毎年伸び続けていることが分かります。訪日台湾人はリピーター率が世界で一番高いのが特徴です。訪日者の約8割が2回目以上の訪日経験があるため、今後も再訪日する台湾人観光客数が拡大していくと予測されるでしょう。
訪日台湾人の滞在日数・訪日回数
https://www.mlit.go.jp/common/001230647.pdf
出典:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査」
訪日回数が高まるごとに、滞在日数も増加する傾向にあります。訪日1回目の場合は4~6日間が84%、7~13日間が13%です。訪日2~9回目になると4~6日間の人は74%に減少する一方で7~13日間滞在する人は22%に増加しています。
これには訪日回数が多くなればなるほど都市部から地方部へ訪れる人が多く、モノ消費よりも日本文化や趣味を体験するコト消費への需要が高まっていることが後押ししていることが要因です。
訪日台湾人の旅行形態
https://www.mlit.go.jp/common/001230647.pdf
出典:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査」
チャレンジ精神・独立心が強い台湾人の気質によって、旅行会社が用意した団体ツアーよりも好きな場所や時間に融通が利かせられる個別手配旅行(FIT)での利用が多くなっています。さらに学校教育の他に日本のアニメやドラマが放送されたことでロケ地巡りをしたい人も増え、個別手配旅行の需要は一層高まってきているでしょう。
訪日台湾人の旅行消費額
出典:観光庁「2019年の訪日外国人旅行消費額」
https://www.mlit.go.jp/kankocho/siryou/toukei/content/001335741.pdf
訪日台湾人が日本旅行で消費する額は、平均6.1泊一人あたり総額11.8万円です。10回目以上の訪日になると旅行消費額が14.6万円となり、1回目と比較してみると2.8万円も増加している傾向にあります。台湾の平均月収が月収約18万円(中央値月収は約14.5万円)とそれほど多くはなく、貯金する文化が少ないのにもかかわらず日本での旅行支出が月収の半分以上が消費されているのが驚きです。
訪日台湾人の年齢・性別
https://www.mlit.go.jp/common/001230647.pdf
出典:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査」
訪日台湾人の全体では訪日回数によって年代や性別が異なりますが、全体では20代~60代の幅広いです。そのうち男性が44%、女性が56%と女性の方が多くなっています。年齢層は男女ともに30代、20代、40代の順になっており、訪日回数が高まることと比例して年代が上がっていくのが特徴です。
訪日台湾人観光客(インバウンド)の特徴
訪日者数は中国や韓国に並びトップレベルの台湾が他の国と大きく異なるのは、親日家でリピーター率が高いことです。どのような理由でリピートしたいと感じるのか、またどの時期が訪日台湾人が多いのか特徴を紹介していきます。
特徴①他の国よりもリピート率が高い
https://www.mlit.go.jp/common/001230647.pdf
出典:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査」
日本を訪れる観光者数は中国人や韓国人が多いものの、台湾人のリピーター率は多いのは訪日での満足度が9割以上と高いことが理由になっています。そのため訪日者全体のうち約8割が2~9回目、約10割は10回以上も訪れるヘビーリピーターもいます。
また訪日回数が1~5回程度の少ない時は家族・夫婦・友人と一緒に旅行するのがほとんどですが、訪日回数を重ねるごとにひとり旅をする傾向が強くなっていくのが訪日台湾人の特徴的です。
特徴②日本カルチャーへの高い興味
台湾人は普段の生活から日本に触れる機会が多く、親近感を抱きやすいものです。例えば日本が台湾を統治していた時代に学校教育で日本語を学び現在も話せる人が多いこと、街の至る所に統治時代の日本建造物が現在でもあること、日本のアニメやドラマ放送がされていることがあげられます。本来の日本文化はどういうものなのかと「カルチャー、グルメ、ファッション」などに興味を持つ台湾人が多いのです。
特徴③モノ消費からコト消費の時代
コスメ・薬・電化製品・服・バッグなど日本製品は品揃えの多さや安心・安全で信頼の高いものとされているため、訪日の目的にはショッピングを楽しむ人がほとんどです。しかし近年では越境ECの利便性が高まり、台湾の自宅から簡単に日本製品を購入できるようになりました。そのため爆買いと言われた「モノ消費」から、趣味日本や日本文化を体験する「コト消費」への傾向が強くなっています。
コト消費には日本でしか食べられない旬の食材を堪能すること、台湾にはない四季を感じられるウィンタースポーツなどのアクティビティ、自然・景勝地観光や温泉体験などが人気です。何度も日本を訪れているリピーターには定番観光スポットよりも、観光客が少なく台湾のインターネットでもあまり知られていないような穴場スポットへ行きたいと考える人も多くなっています。
特徴④訪日時期は4月から7月が最も多い
出典:JNTO「日本の観光統計データ」
訪日台湾人は政治的要素で訪日者数が左右されることは少なく、一年を通して毎月約35万人以上と安定的需要が見込まれているのが特徴です。4月~7月は台湾から最も多くの観光客が集まる時期で、多い月では約45万人にも達します。7月は学校が長期休暇になることから多くの人が訪れる要因となっており、それ以外にも秋の祝日イベントである「中秋節(4日間)」や「国慶節(3日間)」の連休で日本の紅葉や秋の味覚を楽しむため人気のシーズンとなっているようです。
訪日台湾人観光客(インバウンド)に人気のエリア・情報収集方法
訪日台湾人に限らず他の国でも情報収集するためにはインターネットをメインに使用しています。中国ではTwitter、FacebookなどのアプリやGoogle・Yahooなどの検索エンジンが使用制限で利用できません。しかし台湾ではそのような制限がないため、SNSや検索エンジンを利用した方法で情報が集められています。具体的にどのような情報収集方法なのか、またどういった場所を検索しているのか解説していきます。
訪日台湾人に人気のエリア
順位 都道府県 1回目 2~9回目 10回目
1位 大阪府 35.2% 30.9% 30.0%
2位 東京都 29.3% 28.2% 31.1%
3位 千葉県 28.9% 26.2% 27.3%
4位 京都府 26.2% 20.6% 15.9%
5位 沖縄県 14.6% 13.0% 5.9%
6位 北海道 12.7% 12.8% 10.2%
7位 兵庫県 10.8% 8.0% 4.4%
8位 奈良県 10.2% 7.5% 5.3%
https://www.mlit.go.jp/common/001230647.pdf
出典:観光庁「平成29年訪日外国人消費動向調査」
訪日台湾人の観光目的は「日本食を楽しむこと(70%)」「ショッピング(65%)」「自然・景勝地観光(55%)」「繁華街の街歩き(48%)」「温泉入浴(32%)」となっています。人気があるエリアは関東や関西の都市部が圧倒的に多く、次に沖縄県や北海道の地方部です。
関東では成田国際空港を利用して、銀座、上野、東京ディズニーランド・シーとショッピングやグルメが目的となっています。関西でもグルメやショッピングはもちろん欠かせませんが、日本の古き良き雰囲気を楽しめる金閣寺や清水寺などでSNS映え写真を撮ることが人気です。大阪や京都の大都市から、車や新幹線で兵庫や奈良の地方部へ巡りやすい便利さが人気の理由となっています。
沖縄県までは台湾からのクルーズ船により短時間・低価格で行き来できるのもポイントですが、一年中暑い気候の台湾では体験できない北海道でウィンタースポーツや海鮮料理を楽しむのも需要が高いです。
上記の表で分かるように訪日回数が多くなればなるほど都市部から地方部へ変化しており、行動範囲が広くなると滞在日数も増えていく傾向にあります。台湾人が訪れる地域の上位8位内にはランクインしていませんが、東北地方(仙台・青森など)や北陸地方(金沢・福井など)も徐々に人気が高まってきているようです。
訪日台湾人が購入する場所
https://www.mlit.go.jp/common/001230647.pdf
出典:観光庁平成29年訪日外国人消費動向調査
台湾人に人気の日本製品は「医薬品・健康グッズ・化粧品・香水」などが多いため、ショッピングする場所はドラッグストア(93%)が一番人気です。また「調味料・お菓子」などの人気があるため、コンビニエンスストア(79%)やスーパーマーケット(66%)での購入が多くなっています。
台湾人の訪日情報収集方法
https://www.mlit.go.jp/common/001285944.pdf
出典:観光庁「訪日外国人の消費動向」
台湾人の多くが訪日前に「個人ブログ(30.6%)」で情報収集していいます。以前は口コミサイトからの情報収集が人気でしたが、やらせ投稿や検索上位表示をお金で買う行いによってユーザーからの信頼が激減し、現在では体験談を綴るブログ記事のほうが人気となっています。そのためトップブロガーになるとフォロワー数十万・数百万人と支持が高く、芸能人や有名人と肩を並べるほど影響力を持っています。
ブログの次に多いのが「SNS(23.7%)」です。台湾のFacebookアクティブユーザーは89%と世界一であり、ブログ同様に口コミ・体験を写真・文章で投稿できることやユーザーとコミュニケーションを取れるのが最大のポイントです。
日本でインスタ映えがあるように台湾でも視覚的にインパクトを与える写真は人気を呼び、「この人と同じところに行ってみたい」と興味が持たれます。そうしてファン(フォロワー)が多くつくことで、日本旅行ブロガーや人気インフルエンサーとして個人の信頼度や影響力が大きくなっていくのです。
まとめ
この記事では台湾の文化や訪日台湾人の特徴について紹介してきました。データでも分かるように訪日台湾人の年間推移が増加傾向にあることや、リピート率が世界一高いことが理解できたかと思います。訪日台湾人集客をする絶好のチャンスを逃さないような戦略を練っていくことが大切です。
訪日台湾人は「ブログ」「SNS」「親族や知人」からの情報が当たり前でしたが、近年では「訪日メディア」で情報収集も人気を増しています。訪日台湾人に特化しているメディア「旅行酒吧(トラベルバー/travel98)」は、各企業やお店の宣伝を「旅マエ」「旅ナカ」のシーンで届けることができます。旅行記や写真投稿できることから「旅アト」まで段階ごとにアプローチすることも可能です。
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BEENOS Travel代表取締役社長。台湾最大級のインバウンドメディア「トラベルバー」の事業責任者を務める。デプスインタビューやアンケートを活用して収集した豊富な情報を基に、最新かつ詳細な台湾情報を世界に発信している。自治体、宿泊事業者、商業施設、飲食店と台湾インバウンド関連の業務を行い、台湾の魅力を広く紹介する活動に従事している。