台湾は他の国と比べてリピート率が8割と非常に高いことが特徴です。そんな台湾人観光客が訪日する際には、SNS、ブログ、インバウンドメディアで情報収集されています。インバウンドメディアは企業が積極的に情報を発信できるツールとして集客や売上につなげることができますが、具体的に「どのメディアを利用すればいいのか、選ぶコツ」を把握している人はあまりいないのではないでしょうか。
そこで今回は訪日台湾人集客や売上につながる「インバウンドメディアの選び方」や「おすすめのインバウンドメディア」について徹底解説していきます。
抑えておきたいポイント
- 訪日台湾人のインバウンド市場規模と特徴
- 訪日台湾人のインバウンド目的や行動とは
- 台湾人向けインバウンドメディア選びのポイント
- おすすめの台湾インバウンド向けメディア3選
いきなりメディアを利用するのはハードルが高く感じてしまうかもしれませんが、訪日台湾人の実態から理解し自社に合ったビジネス戦略に役立てていきましょう。
訪日台湾人のインバウンド市場規模と特徴
まずは訪日台湾人がどれほどの市場規模なのか、他の国と比較しながら見ていきましょう。
台湾人旅行客のインバウンド推移
【2019年各国・地域別の訪日客数内訳】
出典:JNTO「日本の観光統計データ」
https://statistics.jnto.go.jp/graph/#graph–breakdown–by–country
まず日本を訪れるはインバウンド客数の数値を見ていきましょう。世界で一番多い訪日国は第1位中国(959万人)、第2位韓国(558万人)、第3位台湾(489万人)です。中国は人口が多いため、圧倒的な訪日数を誇っています。
他国と比べてリピート率が高い
出典:やまとごころ.jp「訪日外国人の傾向を知る~台湾編~」
https://www.yamatogokoro.jp/inbound_data/30556/
台湾は東アジア4カ国(中国・韓国・台湾・香港)の中で、訪日リピート率が一番高くなっています。中国は60%の人が1回のみの訪日で、リピートする人は多くても2~5回程度です。しかし台湾人の場合は80%が2回以上の訪日で、10回以上は15%もいるほどコアなファンが多くいるのが特徴です。
出典:やまとごころ.jp
https://www.yamatogokoro.jp/inbound_data/30556/
2009年の訪日台湾人数は年間102万人の人が訪れ2018年には475万人を記録し、10年間で約5倍にも拡大しています。中国、韓国に続いて世界で3番目に訪日する台湾人は、2019年時点で月間35万人~45万人が訪れていますが、その8割以上がリピーターというのが台湾インバウンドの特徴です。台湾の人口は2,353万人なので国民5人に1人(1,664万人)の割合、実質的には台湾人口の3人に1人が日本を訪れています。
訪日台湾人のインバウンド目的や行動とは
リピート率が高い訪日台湾人ですが、数年前までは日本商品を購入する目的が多かった「モノ消費」から、日本ならではの体験を重要視する「コト消費」志向に変化してきました。実際に日本国内への旅行はどのような目的があるのか、どのような行動をとっているのかを解説していきます。
日本滞在中の訪日台湾人の行動
訪日台湾人が日本国内で求めていることは大きく分けて4つあります。
・日本のグルメやお酒を味わう
・ショッピングをする
・趣味を楽しむ
・SNS映え写真の撮影
台湾は北部と南部で若干気温の差はあるものの、基本的に亜熱帯地域なため一年中暖かいのが特徴です。しかし日本には四季があるので季節や旬に合わせた牡蠣・蟹・刺身などの新鮮な魚介類はもちろん、すき焼き・天ぷら・ラーメンなどの日本らしいものを食べてみたいと人気を集めています。衛生環境の良さや出汁を使う繊細な料理方法に魅了される人も少なくありません。
日本はスポットによってショッピングのジャンルが異なります。例えば「銀座」は数々の高級ブランドが立ち並び、「原宿」であれば安くてファッション性のある物、「浅草」であれば日本の伝統的雑貨といったように楽しみ方を変えられるのが魅力です。また医薬品・化粧品・調味料などの商品も人気なので、ドラッグストア・コンビニエンスストア・スーパーマーケットでの買い物は訪日台湾人には欠かせないスポットとなっています。
しかしさまざまな日本商品を購入する訪日目的「モノ消費」から、趣味や体験を楽しむ「コト消費」の比重が近年高まってきています。台湾人は健康志向が高いので季節や自然を感じられるウィンタースポーツ・ゴルフ・サイクリングなどの趣味、歴史や伝統文化体験、ディズニーランドやUSJなどのテーマパークも人気があります。
台湾人も日本人同様SNS映えの写真を好む傾向にあるので、訪日で体験した日本のグルメ・街並みや景色・趣味などを撮影しSNSにアップロードされています。台湾では旅行風景を投稿して周りに自慢したいと考える人や、絶大な影響力を持つトップブロガーが投稿する同じスポットへ行きたいと考える人が多く定番ではない少し変わった体験をする人が多いです。
訪日台湾人が買い物している物や場所
https://www.mlit.go.jp/common/001230647.pdf
≪日本で購入している物ランキング≫
第1位 医薬品・健康グッズ・トイレタリー(78.6%)
第2位 菓子類(71.3%)
第3位 その他食料品・飲料・酒・たばこ(69.1%)
第4位 化粧品・香水(47.1%)
第5位 服(和服以外)・かばん・靴(42.7%)
≪日本で購入している場所ランキング≫
第1位 ドラッグストア(93%)
第2位 コンビニエンスストア(79%)
第3位 空港の免税店(71%)
第4位 スーパーマーケット(66%)
第5位 百貨店・デパート(56%)
日本製品は安全性・信頼性が高いとされているので「医薬品・健康グッズ」「化粧品」商品が人気で、ドラッグストアでの購入が多くを占めています。「カメラ・ビデオ・時計」「電化製品」の購入率はそこまで高くないものの、1つあたりの単価が高い理由から購入額の順位としては上位に来ているのが分かります。
訪日台湾人の情報収集方法
訪日リピーターが多い台湾客は、訪日回数が増えると都市部から地方部へと移る傾向が強くなります。訪日台湾人が旅マエに情報収集する方法としては「Facebookを中心としたSNS」「親族や知人」「インバウンドメディア」ですが、特に利用率が高いのは「個人ブログ」からの情報です。
Facebookを中心としたSNS
台湾ではFacebookのアクティブユーザーが89%と世界一です。一年を通しても訪日者数が多い台湾では、常日頃からFacebook内で日本国内の旅行情報が飛び交っているため、訪日前の情報収集に役立っています。
日本でもインスタ映え写真を投稿するように、台湾の中でも見る人に強い印象を与える物やスポットで撮影・投稿するのが日常的です。SNSによって文字・写真・動画と強みが異なるので、知りたい情報を上手く使い分けながら検索されています。
個人ブログ
日本では馴染みが薄い「ブロガー」ですが、台湾では人気職業ランキング上位に入るほど身近です。数十万人・数百万人のフォロワー数を抱え、大きな影響力を持つスーパーブロガーも存在します。ブロガーは文字と写真を使い記事を書く人と思われがちですが、人気ブロガーになると旅行本の出版、モデル、テレビなど活躍する人も少なくありません。そのためブロガーは芸能人や有名人に匹敵するほど影響力がある人なのです。
インバウンドメディア
訪日台湾人向けに情報が集約されたインバウンドメディアです。メディアによって機能は異なりますが、実際に訪日台湾人が体験した記事や旅行計画表を投稿できるページがあります。また企業が集客や認知度アップのためにユーザーにPRすることも可能です。
台湾人向けインバウンドメディア選びのポイント
台湾インバウンドに向けてプロモーションする場合、どのようなメディアを利用すればいいのか、選び方のポイントを3つ紹介していきます。
ターゲット層が適正か?
多くの国をカバーしようとしているメディアでは、中国語・韓国語・英語など多言語対応しているため非常に便利です。しかし自社商品・サービスを効果的にプロモーションするためには、「ターゲット国」「性別」「年代」などの属性が自社商品とメディアで適合しているかを把握しなければなりません。
つまり台湾人インバウンド向けに情報を発信するためには「台湾人ユーザーが多いこと」台湾の公用語である「中国語・北京語が対応されている」メディアでの配信が最低限必要なのです。台湾と香港は同じ言語(漢字)を使用するので、2か国にリーチすることが可能となります。
月間ユーザー数が多いか?
同じ言語を使用する台湾人と香港人が使う言語で、ただ情報発信すれば集客が増えることはありません。利用するメディアにどれだけ多くの台湾人・香港人ユーザーがいるのか、月間PV数(閲覧数)を知っておくことが大切です。
ユーザーへ向けて企業が広告配信できるのか?
企業が自社商品やサービス、観光スポットなどの情報を配信するためには広告機能があるメディアを利用することが必要です。広告配信した「スポット・食べてみたい物・購入したい物」に関心を持ってもらえれば、旅行する場所を選ぶきっかけにつながります。情報配信の際は広告と合わせてクーポン発行機能も付いているメディアを利用すると、売り上げ増加に期待できるでしょう。
おすすめの台湾インバウンド向けメディア3選
台湾人が訪日の際の情報収集手段として利用するのは、メディアサイトです。台湾向けのメディアサイトはいくつもありますが、おすすめの訪日台湾・香港人向けのインバウンドメディア3つの特徴を紹介してきます。メディア選びの参考にしてください。
樂吃購!(ラーチーゴー)
メディアURL:https://www.letsgojp.com/
メディア特徴
- 月間ユーザー数:200万人(全体は20~34才のF1層、約70%が女性)
- Facebookフォロワー数:68万人
- ユーザー層:台湾78%、香港12%
- 機能:航空券・ホテルの価格情報、クーポン配信、アクティビティ予約、取材記事 等
- その他:台湾に実店舗あり(サンプリング調査など)
「樂吃購(ラーチーゴー)」は20~30代女性に人気が高いメディアなので、その世代が知りたい情報である「樂=遊ぶ」「吃=食べる」「購=買う」が名前の由来になっています。おすすめスポット、飲食店、ドラッグストアや百貨店、お土産などの情報を、台湾人と香港人スタッフがターゲットと同じ目線でコンテンツを制作されています。訪日台湾人のニーズと日本のトレンドを理解した上で取材や執筆していることで多くの共感を得ています。
歩歩日本(ブーブーニホン)
メディアURL:https://www.bubu-jp.com/
メディア特徴
- Facebookフォロワー数9.2万人:
- Facebookいいね数:8.9万人
- ユーザー層:台湾、香港
- 機能:クーポン配信、交通割引チケット、ホテル情報、飲食店情報、アクティビティ・イベント情報、取材記事、日本在住者レビュー 等
- その他:モニターツアー、Webアンケート調査
「歩歩日本(ブーブーニホン)」はグルメ情報・買物情報・観光スポットを配信しています。日本の観光を知り尽くした日本在住台湾人ライターがクオリティの高い記事を毎日配信しているため、何度も訪れた経験があるリピーターにも人気の高いメディアです。お店のクーポン配信ができることから「旅マエ」で来店動機に繋がり、「旅ナカ」でお店の情報やクーポン表示での利用、「旅アト」で購入した商品情報についての投稿まで長く利用してもらえる可能性があります。
旅行酒吧(トラベルバー/travel98)
メディアURL:https://travel98.com/
メディア特徴
- 会員数:12万以上
- 月間PV数:550万以上(全体は18~55才、約70%が女性)
- 投稿記事数:9万件以上
- 旅程表数:8万件以上
- ユーザー層:台湾、香港
- 機能:ブログ、クーポン配信、店舗ページ、サービス提供(ホテル、飲食店、自治体、スポット、アクティビティなど)、旅程表作成 等
「旅行酒吧(トラベルバー/travel98)」は台湾・香港インバウンド向けのトリップアドバイザーのような旅行情報交換と、旅行計画ができる台湾最大のコミュニティサイトです。基本的にブログや旅程表など投稿・閲覧していくスタンスで、ユーザー同士のコミュニケーションを中心としているのが特徴です。
ユーザー登録するだけで誰でも訪日旅行のブログ記事や旅程表を投稿でき、今や合計9万件以上も投稿されています。旅程表の機能は土地勘が無くても旅行計画を立てやすいので、旅行者にとってとても便利な機能です。
また飲食店・アクティビティ施設・観光スポットなの詳しい情報や特徴の書かれたページには、既に訪れたことがある人のブログを投稿・閲覧できる食べログのような機能もあります。1つのページでこれだけ多くの情報を集約できるのは他のメディアにはない魅力です。
まとめ
この記事では台湾向けインバウンドメディアの特徴や選び方について解説してきました。リピート率が世界で一番高い訪日台湾人を効率よく集客するためには、台湾人の特徴・行動・情報収集方法を把握しておくことが大切です。そして台湾人向けの商品やサービスを扱っている企業が情報配信をするには、インバウンドメディアの利用がおすすめです。
「旅行酒吧(トラベルバー/travel98)」は台湾インバウンドへ向けたプロモーションに特化しているため、広告出稿や店舗・サービスの紹介は全て中国語での掲載となります。中国語が出来なくてもBEENOS Travelが言語や集客のサポートをいたしますので、お気軽にご相談ください。
BEENOS Travel代表取締役社長。台湾最大級のインバウンドメディア「トラベルバー」の事業責任者を務める。デプスインタビューやアンケートを活用して収集した豊富な情報を基に、最新かつ詳細な台湾情報を世界に発信している。自治体、宿泊事業者、商業施設、飲食店と台湾インバウンド関連の業務を行い、台湾の魅力を広く紹介する活動に従事している。