プロモーション方法の1つとして、街中でポケットティッシュやクーポンなどサンプリングを行っているのをよく見かけるのではないでしょうか。近年では訪日観光客向けにこのサンプリングを行う企業やお店が増加してきています。サンプリングは旅マエ、旅ナカの2つのタイミングで行うことで、商品やサービスの購買欲や来店率を効果的に上げることにつながります。
訪日外国人客向けに商品やサービスを提供する企業やお店で、下記のような悩みをお持ちではないでしょうか。
「自社の商品やサービスの認知を広げたい」
「ブランドイメージを持ってほしい」
「訪日旅行の人気のお土産としてイメージさせたい」
「ライバル店やライバル商品と比べて優位性があることを知ってほしい」
「旅マエの計画時点で、商品購入や体験したいリストの中に入れて売上を伸ばしたい」
このように考えていた方にサンプリングはおすすめのプロモーション方法です。
しかし「どこで、何を、どのように」配布すればいいのか分からないという方も多いのではないでしょうか。そこでこの記事では台湾・香港・中国を主にターゲットとしている方に向けて、「訪日外国人客へのサンプリング方法」について詳しく紹介していきます。
具体的には、
- 訪日観光客向け【サンプリングとは】
- 訪日観光客向け【サンプリングを行うメリット】
- 訪日観光客向け【サンプリングを行う業種・種類の例】
- 訪日観光客向け【サンプリングを行う場所・注意点】
について徹底解説していきます。マーケティングやプロモーションご担当者の方は、ぜひ参考にしてみてください。
訪日観光客向け【サンプリングとは】
サンプリングとはポケットティッシュや食品など、商品の試供品を渡すイメージが強く持っている人も多いでしょう。しかしサービスや施設をPRするためのチラシを配ることや、インフルエンサーに招待旅行を行うサンプリングなどと実は幅広く行われているのが特徴です。日本人向けではなく訪日観光客をターゲットとしたサンプリングとはどのいうことなのか、紹介していきます。
訪日観光客向けのサンプリングとは
まず「サンプリング」とは企業が商品やサービスをPRするために、ターゲットへ試供品や体験サービスを無料で配布するプロモーション方法のことを言います。街頭でよく見かけるサンプリングには、ポケットティッシュや化粧品などがあります。そして「インバウンド向けのサンプリング」とは訪日外国人旅行者をターゲットに、PRしたい商品やサービスが記載されたチラシや商品などの試供品を渡すことを言います。
サンプリング手法
サンプリングの手法はさまざまありますが、訪日観光客向けの代表的な手法5つを紹介します。
同梱サンプリング
「同梱(同封)サンプリング」とはモバイルWi-FiのレンタルやSIMカードを購入する際に、サンプル商品やチラシ、クーポンなどを同梱する手法です。今回の旅行で使えるものや、次回もまた使えるお得なクーポン等と、リピートになってくれる方に特別感を与える方法も可能です。
街頭サンプリング
「街頭サンプリング」とは駅や空港の出入口、商業施設の前などでサンプル商品を直接ターゲットに渡す方法です。配布するためには警察署や施設の管理署に使用許可書を取ることが必要となります。
タイアップ型サンプリング
「タイアップ型サンプリング」とは海外に実店舗を持つお店とタイアップ(コラボレーション)し、商品やサービスを紹介することです。実店舗でのPR以外にも、タイアップしたオンラインサイトで抽選キャンペーンを行うこともあります。タイアップすることで、話題性や信頼度を向上することで集客や売上につなげることができます。お店や施設など既にスタッフが配置されている他の企業(お店)と提携するため、自社で現地スタッフやノウハウを用意する必要のないことがメリットです。
SNSでインフルエンサー・KOLを使ったサンプリング
「SNSでインフルエンサー・KOLを使ったサンプリング」とはSNS(YouTube、Instagram、Facebookなど)やブログでフォロワー数の多いインフルエンサーやKOLと呼ばれる人に、自社の試供品を使ってもらうことやサービスを体験してもらう方法です。使用感や使ってみた感想をSNSやブログで発信してもらい情報を拡散することや、販売販促に繋ぐことができます。
DMサンプリング
「DMサンプリング」とは旅マエにSNSやウェブサイトで応募し、抽選で当たった人が店頭で商品と引き換える方法です。または抽選で当たった商品を自宅でゆっくり体験し、訪日旅行の際に来店や購入してもらうというケースも中にはあります。
サンプリングを行う理由
訪日観光客が訪れたお店や施設で自社の商品やサービスの魅力を伝えるのではなく、旅マエや旅ナカのタイミングでサンプリングを行う必要がなぜあるのでしょうか。その理由には訪日外国人客は「旅行中の買い物リスト」や「買い物時間の短縮」ができるためです。訪日外国人客の中には旅マエに購入したい商品や体験したいサービスなど、予め計画している人もいます。特に台湾や香港ではその傾向が強くあります。現地で発見したものを購入したり体験したりするよりも、欲しい商品ややりたいコトが事前に分かっていれば、訪日観光客にとって「旅の計画を立てやすい」ことだけでなく「購入や選択に選ぶ時間を短縮」できます。またある程度予算も分かっていれば資金を用意するので、お店や施設側にとって売上や集客にも繋がることでしょう。
訪日観光客向け【サンプリングを行うメリット】
訪日観光客向けの販売促進方法にはサンプリングを行わず、来店した方や実際に購入した方向へ直接商品の魅力を伝えることもできます。わざわざ旅マエ・旅ナカでサンプリングを配布するメリットは何があるのでしょうか。
メリット①ターゲットに確実に渡せる
お店やホテルなどに置いてあるサンプル商品やチラシとは異なり、対象ターゲットとする「国・地域」「個人旅行・団体旅行」などピンポイントで直接商品を渡すことで無駄のない販促効果を出すことができます。さらにただサンプルを渡すのではなく「どのような使い方をするのか」「どのような魅力があるのか」など簡単な説明をすることで、ターゲットの関心を高めることも可能です。また質問されるほど相手から興味を持ってもらえば、購入を悩んでいた人を後押しすることや、将来新たな顧客を増やすきっかけもなります。
メリット②使用率や購買行動まで上がる
消費者に直接渡したサンプルが手元にあることで、空いている時間や移動中、旅行中や自宅で実際に使ってもらう確率が高くなります。また実際に試してみて魅力や関心がしっかり伝われば、来店促進や購買行動まで誘導でき素早い反響を期待することも可能です。
メリット③ブランド周知ができる
渡したサンプルを訪日観光客が手に取り「初めて知るブランド」という人もいれば、「知っているけど使ったことが無い」、「既に使ったことがあり、新商品は使うのは初めて」などとさまざまです。商品やブランドの魅力を知っている人や知らない人へもサンプルを通して新たな顧客を獲得することが可能です。
メリット④SNSで発信してくれる可能性がある
フォロワーが数十万、数百万人いるインフルエンサーでなくても、今や個人のSNSやブログなどで旅の思い出や商品のレビューを行っている人は数多くいます。これから旅が始まる「空港や機内」、自国にはない商品を手にする「ショッピング中」などテンションが上がっている時にサンプルを配るのが効果的です。そして「これをもらった」とSNSやブログで発信してくれる可能性があり、母国に帰った後だとしても「実際に使ってみた」というレビューを書いてもらうことでまだ体験していない消費者に宣伝する効果へと繋がります。
メリット⑤ニーズを把握できる
台湾では特に商品やサービスがどういう物なのか、一度試してから商品を購入したい人が多くいます。台湾以外にも香港、フィリピン、タイなどのアジア各国では日本と比べて年収が低いため、購入に失敗したくないと考える傾向が強くあります。また国や地域によってニーズが異なるので、大きく商品開発する前にサンプリングの同梱とアンケートを行い顧客の声を聞けば、消費者のニーズに応えた商品開発をすることが可能です。コストや時間をかけてインタビューを合わせて効果を上げることも良いでしょう。
メリット⑥予算に合わせて配布できる
企業によっては広告費としてかけられる金額が異なります。サンプリングは自社の予算に合わせて配布数や配布方法を決めることができるので安心です。また似たような業種やサンプル商品であれば、これまでのサンプリング業者の実績から、ある程度効果を見積もることも可能となってくるでしょう。
訪日観光客向け【サンプリングを行う業種・種類の例】
中国本土では2015年頃に流行した爆買いでモノを消費することが多かったため、サンプリングもモノの提供が数多くありました。地域が異なる台湾や香港では母国でも日本製品が手に入りやすくなったこともあり、いち早く体験に価値を置く「コト消費」への傾向が強まっていました。
このようにターゲット層(国や地域)によってサンプリング方法は異なりますが、どういった業種の企業がどのような商品をサンプリングしているのか知りたいという方もいるのではないでしょうか。「自社のジャンルや業種だったら」イメージしやすいように、業種とサンプリングの種類をモノ・コト(体験)別に分けて解説していきます。
サンプリングを行う業種例
- コスメ/ビューティ(化粧品のサンプルや美容機器の体験)
- 飲食店/食品・飲料メーカー(食品の試食や試飲)
- アパレル店/越境EC(ファッションショーやタイアップなどのイベント)
- 日用品/雑貨(サンプルや体験)
- 家電量販店(家電の体験)
- 宿泊施設/自治体などの観光業(旅行の招待や、旅行が当たる抽選キャンペーン)
- 通信会社/代理店(Wi-Fiレンタル)
サンプリング種類「モノ提供」の例
- チラシ
- クーポン
- 食品(チョコ、スナック、その他お菓子、おつまみ、肉、果物)
- 飲料(ビール、日本酒、ワイン、リキュール、清涼飲料水、栄養ドリンク)
- 化粧品(コスメ、日焼け止め、香水)
- 日用品(ポケットティッシュ、サニタリー用品、ベビー用品)
- 健康食品(乳製品、サプリメント)
- アパレル(Tシャツ、ハンカチ、タオル、ベビー服)
- 雑貨(扇子、うちわ、タオル、ボトル、アニメ・キャラクターグッズ)
サンプリング種類「コト提供」の例
- 試食会(チョコ、スナック、その他お菓子、おつまみ)
- 試飲会(ビール、日本酒、ワイン、リキュール)
- 旅行(宿泊券、旅行券、食事券)
- 体験型(着物試着、農業体験、田舎暮らし体験、四季体験、フルーツ狩り、日本食作り体験、回転すし体験)
- 家電(ビューティ家電、キッチン家電、VR、ゲーム、アロマ、ウォシュレット)
訪日観光客向け【サンプリングを行う場所・注意点】
どういった業界がどのように商品やサービスをサンプリングしているのかイメージできたかと思います。続いては訪日観光客向けにはどこでサンプリングを配布すればいいのか、主な配布場所の例を5つ紹介していきます。また配布する上で気をつけるべき点についても解説します。
場所①飛行機、クルーズ船、バスなどの交通手段
これから旅が始まる搭乗直前や到着ロビーでは旅行会社のスタッフが、機内であればCAからサンプル商品やチラシを直接渡す方法です。観光地や宿泊施設まで移動する観光バス(ツアーバス)ではバス車内のシートポケットへの設置やツアーガイドからの手渡しサンプリングを行います。海外から来たクルーズ船では客室内や船内ロビー、寄港地のお店でもサンプル商品やチラシ、クーポンを渡すことができます。
場所②観光案内所
観光案内所は空港、駅、街中とさまざまなところにあります。訪日外国人限定という幅広いターゲットや、対象言語(国・地域)別など細かくターゲットを絞って直接サンプルを配布することが可能です。また観光案内所以外にも、旅行会社カウンターや自治体施設での配布もあります。
場所③ホテル、旅館、ゲストハウスなどの宿泊施設
日本国内にあるホテル、旅館、ゲストハウスなどの宿泊施設でチェックイン時に、サンプル品、チラシ、クーポン手渡しで配布します。またはロビーにラックを設置し、広告商品やチラシなどを置くこともあります。予約時に国・地域が把握できれば、事前に宿泊者が理解できる言語での案内を用意することが可能です。
場所④Wi-Fiレンタル、プリペイドSIM
日本到着前後の空港でWi-Fiをレンタルする場合や、プリペイドSIMを購入する際に、レンタルショップでクーポン、チラシ、試供品を同梱して渡します。国や地域によってはレンタルしている物を自宅に届けることもでき、その場合でも同じく同梱してサンプリングすることが可能です。
場所⑤免税店
免税店は出国者に対して空港で免税にてお得に購入できる「空港免税店」が一般的ですが、空港以外にも百貨店やドラッグストアのように市中に出店している「市中免税店(消費税免税店)」があります。免税店に入店した際や購入した際に、試供品やクーポンの配布ができます。
サンプリングを行う場所の注意点
サンプリングを行う上で気をつけなければならないことは、配布する場所です。訪日外国人客が集まるような空港、観光バス、免税店などで配布することはターゲットを見つけやすく効果を上げるためにも必要なことです。しかし費用対効果を高めるためには、自社商品やサービスのターゲット層に「配布する量」「配布場所」「配布方法」が適切なのかどうかも重要となってきます。
またサンプリング商品を渡してからがさらなる勝負となります。実際に消費者が手にしてみて魅力的に映るのか、使用してもらえるのかで来店率や購入率が上がっていくため、渡すタイミング(時間)も気をつけることも必要です。例えば疲労回復ドリンクや就寝前に使うコスメのサンプルという場合であれば、深夜便の搭乗前や宿泊施設へ向かうバス車内などで渡すことで、「嬉しい」と感じてもらえます。さらに「実際に使ってみよう」と行動へと繋がっていくものです。コストや配布するターゲットは同じでも、渡す場所やタイミングによって売上や集客に大きな差が出ることでしょう。
まとめ
この記事では訪日外国人客向けの「サンプリング方法」について解説しました。
欧米旅行者は訪日してから目的地や欲しい商品を探す傾向が多くあります。一方でアジア圏は旅マエの時点で欲しい商品や行きたい場所リストを作成し、じっくり計画する人が多く見受けられます。そのためアジア圏をターゲットにインバウンド事業を行っている企業やお店は、旅マエの段階でいかにプロモーション出来るかでライバルとの勝負が決まると言っても過言ではありません。
訪日外国人観光客向けにサンプリング行ってプロモーションする他にも、訪日外国人が訪日旅行のために使うインバウンドメディアで自社の商品・サービス・スポットを検索する人も多くいます。インバウンドメディア「旅行酒吧(トラベルバー、travel98)」は台湾・香港・マカオを中心としたユーザーが多く集まり、インフルエンサーやKOLといった消費者に影響力を与える人まで幅広く利用されているメディアサイトです。
9万件を超えるブログ記事、集客に活用できるクーポンの発行、旅程表などの多くの機能があり、「飲食店、体験施設、宿泊施設、交通情報」など訪日旅行に必要な情報がぎゅっと集まっているのが特徴です。台湾人・香港人向けのメディアを活用したい方は、BEENOS Travelへご相談ください。
BEENOS Travel代表取締役社長。台湾最大級のインバウンドメディア「トラベルバー」の事業責任者を務める。デプスインタビューやアンケートを活用して収集した豊富な情報を基に、最新かつ詳細な台湾情報を世界に発信している。自治体、宿泊事業者、商業施設、飲食店と台湾インバウンド関連の業務を行い、台湾の魅力を広く紹介する活動に従事している。